2007年04月22日 (日)
さてさて、今日は休日。とりあえず何しようか。
そんなとき、メッセンジャーが点灯した。
「最近、日記書いてないけど、書かないの?」
「メッセに書いてある自宅警備員って何?(゚Д゚)」
という内容。
書こうとは思ってるんだが、書いて良いものか。
というわけで書いてなかったことだけど、そろそろ書こう。
ガマンの限界っていうのかもしれない。
あまり気は進まないけど、起こったことを語ろうか。
初めに断っておくっけどこれはフィクション。作り話。
登場人物も、設定も、内容も空想だ。
けして、本当に起こったことじゃない。
そう念を押させてもらうけど、いいかい?
これは、実際に起こってないフィクションだ。
そうあれは――
--------------------
あぁ、酷い目にあった。
せっかくの休日なのにホントラック爆発だよな。まったく。
『何があったの?』
…突然だった。ホントウに突然すぎるびっくりだったよ。
せっかくの休日だ。だけど、車のガスが切れてたんで明日からの仕事のためにガソスタ行って、ハイオク満タンにしてきて、そして、一日ごろごろしようとしてたんだ。
ごろごろって言っても、企画の締め切りが近いのと、ライバルグループとのいざこざみたいなものがあって、集客問題で荒れててね。いい企画にするための最後の固めに入ってたんだわ。パソコンいじりながらな。
そしたら、突然メールが来てな。out lookエクスプレスだっけ? オフィスについてるメールにな。データがおくられてきたんだわ。
急に誰だろうと思ったけど、そのアドレスに心当たりはないので、回線切って、DL止めようとしたんだが、とまらなかった。
で、不審に思ったけど、中身を見ちまったんだよ。普通、そんな怪しいメールなんて不気味だし、ウイルス入ってたらイヤだから、見ないよね? だけど、あまりに突然すぎてそんな普通のことも忘れていたよ。
----------------
中身にはこう書いてあった。
差出人:よくわからんアドレス
内容:それを見ろ。奈津子
----------------
「いや、奈津子って誰よ? そんな人知らないなー、つうか、どうしてこの私のアドレス知ってるんだ? つうかそれって何だよ? あぁ、なんかデータが添付されてるな。何のデータ? ん…こりゃ、写真? 画像データってやつか」
でも、写真を見ようとしたら、ピンポンと呼び鈴が鳴ったんで、渋々、下に降りてみると、郵便屋? いや、クロネコヤマトがいたよ。雨の振る中、日曜日なのにご苦労様だ。ヤマト運輸。
「一体、誰からだろうと、差出人見たんだ」
そしたら、差出人かいてない。差出人無くても、宅配ってできるもんだなーと怪訝に思いつつ、PC前に戻って、中身を開けたさ。普通、怪しくて、開けないのにね。
しょっぱなから、怪しいから、そんな普通なことは忘れてたんだろうね。で、中身を見たんだよ。
「なんだこりゃ?」とばかりに、四角く黒くて薄い、スティック上のプラスチックっぽいのが入ってたんだよ。何かのメモリースティックかなんか?
しかも、23本。ますますわからん。これって何よ?
まあ、疑問はとりあえず、ほっておいて。PC見たさ。PCに着てたメールの画像。
「そうすると、何が写ってたと思う?」
その黒いスティックが写ってたんだよ。箱に収められていたのと同じ形にきれいにきっちり写ってた。
もうホントわけがわからんっとあっけに取られてたら、ケータイがまた鳴ったんだ。
あれ、さっきはPCだったから、"また"ってのは変だな。でも、メールがまた来たってことには変わらんな。
同じアドレスから送られてきたんだよ。そのメール。不審だけど、中身を開いたさ。そりゃ気になるからな。好奇心ってやつだよ。もう疑わしいとかどうのって意味じゃなく。
内容は――
『どうだったの?』
-------------
見たか?見たな。中学の宇田の荷物を整理してるときに出てきた。アニオタでゲーオタ、エロオタだったお前が≪感動した! これは見ないと人生損してる≫とか言って、あいつに渡したビデオデータ。それが見つかって、アァァァなことになってる('A`)
中身はアニメじゃなくって、エロビデオ。≪淫欲陵辱フルコース中学生の淫らな美肉≫だった。大変になった。
-----------
「大変になったか」
正直、わけがわからん。そんなことやった覚えもないし、そんなオタだった覚えもない。中学でそんなことやってるってちょっとアレだろ? それに中学の宇田…そんなヤツいたっけな? つうか、お前誰だよ。さっきからメール送ってきたり、宅配してきたり、電波飛ばしてきたりとか。
で、思ったんだ。
「あぁ、これって何かのイタズラじゃね?」周りにちょっとアレな人がいるから。ヒマつぶしにやってきてるんだろうな。イタズラや煽りに本気になっても仕方ないのでスルー、スルー。それよりも企画に集中だ。さて、話の続きを。
プツン。
いきなり、PCの画面が消えた。ついでに、BGMに流してた≪キミの記憶≫も止まった。
「アレ、停電? いや、スピーカの電源ついてるし、PCのファンは回ってるのに、なんだこりゃ」
そういぶかしんだら、画面が写った。おぅ、なんかの接触不良だったか。さて、作業、作業。だけど、PCに写ったのがいつもの、エクセルとかファイルで埋め尽くされた画面とは違ったんだよ。
-----------------
夕焼けの朱で染められたオフィス。開放的何だか、オシャレ何だかの全面ガラス張り。カベの代わりにガラス窓なもんだから、外が透けて見えてる。いくつものビルの屋上とか、ヘリポートが小さく見えてて、そのビルもかなり高いんだろうに、下の地面とかはさっぱり見えない。なんというか、雲に近いって言ったほうが正しい気がする景色。どうやら、ここはさらに高い高いビルの部屋みたいだ。その部屋はムダにだだっ広くて、家具とかほとんど無い。ほとんどって言うのは、なんかやたらとでかい社長とかが使ってそうな高級そうな黒檀の机がどっしり構えてた。
------------------
机だから、もちろん椅子もあるわけで。椅子もあるから、もちろん誰かが座ってるわけで、誰かがいるってことは、誰かなんだよ。
後ろ姿で、後ろ髪が見えてて、顔が見えないけど、そいつは外の景色を眺めているのか、動かない。机の上のノートPCっぽいのが代わりに動いてそうだった。
そんな画面と音(といっても、全く静かで、すがすがしい静寂でな。うちのPCのファンのうるささと、雨音のほうがきつかった。
「何、コレってハッキング受けてるの?」
しかも、リアルタイムで。いや、そんなワケないだろうに。こんないかにもってカンジのハッキングは無いだろ。でも、画面には映ってるし、PC動かない。あっけに取られたさ。状況についてけないよ。いや、状況というかなんというか、中の人の後姿にやられたよ。
その後姿の後ろ髪の頭にちょこんと何かが乗ってる。≪ちゆ≫ってカンジの"ねこ耳"つけたネットアイドルっぽいのがそこに座ってた。何、この痛い人。こんな知り合いもレイヤーも"奈津子"も知りません。そしたら、画面に文字が出た。こっちの思考を読んでるのか、返事が来たよ。お前、さっきから盗聴とか盗撮とかしてんじゃないか。宅配とかメールとかのレスポンス良すぎ。
--------
「山本だ」
--------
そう彼女(?)は名乗ったよ。
山本? 山本奈津子? 中学の宇田? ビデオ? ネットアイドル? なんか引っかかってきたけど、何がだ? 何だろう。何か知ってそうだけど、昔のことだからちょっと覚えが、昼ごはんですら忘れかけるのにちょっと待て一度に6つ以上のストレスとかタスクがかかると止まるのでちょっと待て。落ち着け。他の企画とか作業とか、明日からの仕事のこととか忘れて思い出そう。
――はっ、そうか。思い出した。きっちり全てがつながった。ジグソーパズルで端っこを埋めた後に、人海戦術で一箇所一箇所にパズルのピースを順番にはめて埋めていくような作業でつながった。
「アイツが山本奈津子!? おい、マジカ。いやありえんだろ。全然ちがうじゃん。どっちかって言うと不良じゃなかったっけ? いや不良だった。こんな見た目も趣味もスキルも持ってないただのケバイ不良だったはず」
「それに宇田。中学の宇田って言えば、英語教師の宇田だろ。なんか授業の最初にギターで英語を歌ってたアイツだ。ということは中学のときの話か。それが何で今になって…」
たぶん、というか推測だ。推測でたぶんだから30%も確率としてないと思うけど、それっぽい。アニメを渡したつもりでAVを渡してた。宇田が任期かなんかで転任になった? いや、事故か何かでも起こったのかもしれない。それでたまたま山本か誰かが荷物の整理をしてるときに、あのビデオデータが出てきたってわけか。中学校であんな内容のAV出てきたらまずいだろ? いや、マズすぎ。セクハラなんてそんな生易しいもんじゃない。普通に児童ポルノ法違犯だろ。で、つまるとこ、私に話が流れてきたってことは――
「察するに、そんな若い青い時代に、アニメと思って渡した、事故とはいえ渡してしまった、アダルトビデオを渡した張本人の私」
ただで済まされるわけがない。
"今"の幸せっていうか、それほど幸せじゃないかもしれなけど、そう思うことが幸せなら十分幸せな、"今"が犯される。例えば、仕事先にばれてクビになるんじゃないか! それで自信を喪失したり、車のローンが払えなくなったり、他のその他もろもろで人生終わるような気がするんだが! こりゃ、かなりえらいことになってんじゃないか……
山本が名乗った。正確には、文字で書かれただけだが、その名前を見た瞬間にそう悟っちまった。どうする、私、どうする自分!?
そこで、また画面に文字が表示された。"いかにも"な格好と景色を映しながらのモニターにはこう表示されたんだ。
-----------
「虹裏来い」
-----------
そこで決着をつけると言わんばかりに。
私は、そこで助かるのか? それとも酷い中傷で絶望するのか。
とりあえず、どうしよう。
とりえあえず、放置で。とりえあえず、ブログにでも載せようかと思ってる自分のネタかマゾっぷりがどうかと思ってる現状だけど。今でも、イタズラだと思ってるし。
そもそも連絡ならメールとか電話でいいじゃないかい?
でも、あれから音信不通で放置されてるっぽい私。
ただただ、時間が刻一刻と過ぎて行く。
やはり、虹裏に行くべきか。行ったところであまり良い展開は期待できないけど。
どうしよう。かといって、このまま時間が過ぎていっても仕方ない。
もし、明るみに出たらえらいことだ。
「脅迫でケーサツにでも言うか?」
いや、訴えられるのはこっちのほうだ。犯罪を犯した。いや犯した覚えは無いが、そうらしい自分のほうが立場としては危うい。詐欺師が詐欺しようとして、騙されましたって自分で自分の首を絞めてるようなもんだ。そんなのできるわけがない。
ウソだ、いたずらだと放置するか。
被害届にケーサツに行くか。
言われたとおり、虹裏に行くか。
どれもしっくり行かない。
でも、選ばなければならない。どうしよう。
とまぁ、そんな感じのことが起こった。
ホント、これからどうしよう――
-----------------------------
以下、ネタバレ要素を含むため、反転白文字。
ネタバレ覚悟な、人だけ見てください。
本文とは違うけど、あるゲームのクライマックスだった。
プレイ時間は70超えていて、かなり長かったと感慨。
で、【選択肢】が出たわけだ。
大雑把に言えば、≪戦っても絶対勝てない相手と戦うことに苦しむか?≫。
≪全てを忘れて、滅びの時まで悩みなく過ごすか?≫。
どの道、滅びることには変わらない選択だ。
みんなが一緒に居たこと、関わったことをなかったことにして生きるのか。
一方は、ゲーム的展開で、望むところの【選択肢】。
明らかに片方は、BAD ENDくさい【選択肢】。
もちろん選ぶのはBADのほう。
そりゃ、気になるのはTURE ENDのほうだけど。
でも、どんな展開になるか≪人はIfが気になる生き物≫だから。
そして、選んだとおりにBADっぽく進んでく。
そう進んで行った。
暗闇が訪れたってカンジで進む。
そして、タイトルへ。
そう、普通はそう。そう進む、それが普通。
――だけど、実際は違ったんだ。
それが“正しい”選択だったように、EDが訪れた。
いや、正しかったのか。
10分ぐらいに後日談もどきが始まって、挙句スタッフロールが流れて。
≪キミの記憶≫が流れつつ。
http://www.youtube.com/watch?v=fvAU85K4f6I&mode=related&search=
良い詩だと思った。良い曲だと思った。鳥肌立ったね。
いろいろゲーム中のことを思い出したり、自分の経験と照らし合せたりして。
最後には、2週目は強くてニューゲームってカンジのセーブが出た。
「おいおい、ラスボス倒してないんだぜ?」
とも思ったけど、それはそれ。
よくよく考えてみたさ。どういう意図か考えてみた。
作中で≪貴方がどのような選択をしようとそれが正しい選択なのです≫
と、何度もほのめかされていた。そう、そんなEDだった。
BADじゃなくて、そういうEDだった。
選ばないこと、立ち向かわないこと、今を楽しむならそれでいいじゃん。
それも正しいことだ。正解だよ。
そういうEDだった。
何をどう選ぼうと。その答えが客観的に間違っていようと。
本人が。当事者達がそれが“正しい”と思うことが、【選択肢】の正解。
第三者の観察者の結果論でどう論じても、当事者が選ぶことが正解だ。
自分の、人の、友人の。今の、昔の、未来の人の。
本で、曲で、彫刻で、時間で流されて、染められて、影響受けた答えでも。
悩んで、悩んで…悩みつくして、悩むのに。悩みつかれて、それでも悩んで。
それからひねり出した悩みの極みの悩みな答え。
≪そんな答えを誰が間違いだと、決め付けることができるのかい?≫
だからさ、自分が出した“答え”にもう少し自信を持ったらどうだろう。
自分にも、このシリ/めつれつを見てる人にもそう伝えたいよ。
さて、自分のTURU ENDにいくかね。
◆相変わらず、シリ/めつれつだよね。
そんなとき、メッセンジャーが点灯した。
「最近、日記書いてないけど、書かないの?」
「メッセに書いてある自宅警備員って何?(゚Д゚)」
という内容。
書こうとは思ってるんだが、書いて良いものか。
というわけで書いてなかったことだけど、そろそろ書こう。
ガマンの限界っていうのかもしれない。
あまり気は進まないけど、起こったことを語ろうか。
初めに断っておくっけどこれはフィクション。作り話。
登場人物も、設定も、内容も空想だ。
けして、本当に起こったことじゃない。
そう念を押させてもらうけど、いいかい?
これは、実際に起こってないフィクションだ。
そうあれは――
--------------------
あぁ、酷い目にあった。
せっかくの休日なのにホントラック爆発だよな。まったく。
『何があったの?』
…突然だった。ホントウに突然すぎるびっくりだったよ。
せっかくの休日だ。だけど、車のガスが切れてたんで明日からの仕事のためにガソスタ行って、ハイオク満タンにしてきて、そして、一日ごろごろしようとしてたんだ。
ごろごろって言っても、企画の締め切りが近いのと、ライバルグループとのいざこざみたいなものがあって、集客問題で荒れててね。いい企画にするための最後の固めに入ってたんだわ。パソコンいじりながらな。
そしたら、突然メールが来てな。out lookエクスプレスだっけ? オフィスについてるメールにな。データがおくられてきたんだわ。
急に誰だろうと思ったけど、そのアドレスに心当たりはないので、回線切って、DL止めようとしたんだが、とまらなかった。
で、不審に思ったけど、中身を見ちまったんだよ。普通、そんな怪しいメールなんて不気味だし、ウイルス入ってたらイヤだから、見ないよね? だけど、あまりに突然すぎてそんな普通のことも忘れていたよ。
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中身にはこう書いてあった。
差出人:よくわからんアドレス
内容:それを見ろ。奈津子
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「いや、奈津子って誰よ? そんな人知らないなー、つうか、どうしてこの私のアドレス知ってるんだ? つうかそれって何だよ? あぁ、なんかデータが添付されてるな。何のデータ? ん…こりゃ、写真? 画像データってやつか」
でも、写真を見ようとしたら、ピンポンと呼び鈴が鳴ったんで、渋々、下に降りてみると、郵便屋? いや、クロネコヤマトがいたよ。雨の振る中、日曜日なのにご苦労様だ。ヤマト運輸。
「一体、誰からだろうと、差出人見たんだ」
そしたら、差出人かいてない。差出人無くても、宅配ってできるもんだなーと怪訝に思いつつ、PC前に戻って、中身を開けたさ。普通、怪しくて、開けないのにね。
しょっぱなから、怪しいから、そんな普通なことは忘れてたんだろうね。で、中身を見たんだよ。
「なんだこりゃ?」とばかりに、四角く黒くて薄い、スティック上のプラスチックっぽいのが入ってたんだよ。何かのメモリースティックかなんか?
しかも、23本。ますますわからん。これって何よ?
まあ、疑問はとりあえず、ほっておいて。PC見たさ。PCに着てたメールの画像。
「そうすると、何が写ってたと思う?」
その黒いスティックが写ってたんだよ。箱に収められていたのと同じ形にきれいにきっちり写ってた。
もうホントわけがわからんっとあっけに取られてたら、ケータイがまた鳴ったんだ。
あれ、さっきはPCだったから、"また"ってのは変だな。でも、メールがまた来たってことには変わらんな。
同じアドレスから送られてきたんだよ。そのメール。不審だけど、中身を開いたさ。そりゃ気になるからな。好奇心ってやつだよ。もう疑わしいとかどうのって意味じゃなく。
内容は――
『どうだったの?』
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見たか?見たな。中学の宇田の荷物を整理してるときに出てきた。アニオタでゲーオタ、エロオタだったお前が≪感動した! これは見ないと人生損してる≫とか言って、あいつに渡したビデオデータ。それが見つかって、アァァァなことになってる('A`)
中身はアニメじゃなくって、エロビデオ。≪淫欲陵辱フルコース中学生の淫らな美肉≫だった。大変になった。
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「大変になったか」
正直、わけがわからん。そんなことやった覚えもないし、そんなオタだった覚えもない。中学でそんなことやってるってちょっとアレだろ? それに中学の宇田…そんなヤツいたっけな? つうか、お前誰だよ。さっきからメール送ってきたり、宅配してきたり、電波飛ばしてきたりとか。
で、思ったんだ。
「あぁ、これって何かのイタズラじゃね?」周りにちょっとアレな人がいるから。ヒマつぶしにやってきてるんだろうな。イタズラや煽りに本気になっても仕方ないのでスルー、スルー。それよりも企画に集中だ。さて、話の続きを。
プツン。
いきなり、PCの画面が消えた。ついでに、BGMに流してた≪キミの記憶≫も止まった。
「アレ、停電? いや、スピーカの電源ついてるし、PCのファンは回ってるのに、なんだこりゃ」
そういぶかしんだら、画面が写った。おぅ、なんかの接触不良だったか。さて、作業、作業。だけど、PCに写ったのがいつもの、エクセルとかファイルで埋め尽くされた画面とは違ったんだよ。
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夕焼けの朱で染められたオフィス。開放的何だか、オシャレ何だかの全面ガラス張り。カベの代わりにガラス窓なもんだから、外が透けて見えてる。いくつものビルの屋上とか、ヘリポートが小さく見えてて、そのビルもかなり高いんだろうに、下の地面とかはさっぱり見えない。なんというか、雲に近いって言ったほうが正しい気がする景色。どうやら、ここはさらに高い高いビルの部屋みたいだ。その部屋はムダにだだっ広くて、家具とかほとんど無い。ほとんどって言うのは、なんかやたらとでかい社長とかが使ってそうな高級そうな黒檀の机がどっしり構えてた。
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机だから、もちろん椅子もあるわけで。椅子もあるから、もちろん誰かが座ってるわけで、誰かがいるってことは、誰かなんだよ。
後ろ姿で、後ろ髪が見えてて、顔が見えないけど、そいつは外の景色を眺めているのか、動かない。机の上のノートPCっぽいのが代わりに動いてそうだった。
そんな画面と音(といっても、全く静かで、すがすがしい静寂でな。うちのPCのファンのうるささと、雨音のほうがきつかった。
「何、コレってハッキング受けてるの?」
しかも、リアルタイムで。いや、そんなワケないだろうに。こんないかにもってカンジのハッキングは無いだろ。でも、画面には映ってるし、PC動かない。あっけに取られたさ。状況についてけないよ。いや、状況というかなんというか、中の人の後姿にやられたよ。
その後姿の後ろ髪の頭にちょこんと何かが乗ってる。≪ちゆ≫ってカンジの"ねこ耳"つけたネットアイドルっぽいのがそこに座ってた。何、この痛い人。こんな知り合いもレイヤーも"奈津子"も知りません。そしたら、画面に文字が出た。こっちの思考を読んでるのか、返事が来たよ。お前、さっきから盗聴とか盗撮とかしてんじゃないか。宅配とかメールとかのレスポンス良すぎ。
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「山本だ」
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そう彼女(?)は名乗ったよ。
山本? 山本奈津子? 中学の宇田? ビデオ? ネットアイドル? なんか引っかかってきたけど、何がだ? 何だろう。何か知ってそうだけど、昔のことだからちょっと覚えが、昼ごはんですら忘れかけるのにちょっと待て一度に6つ以上のストレスとかタスクがかかると止まるのでちょっと待て。落ち着け。他の企画とか作業とか、明日からの仕事のこととか忘れて思い出そう。
――はっ、そうか。思い出した。きっちり全てがつながった。ジグソーパズルで端っこを埋めた後に、人海戦術で一箇所一箇所にパズルのピースを順番にはめて埋めていくような作業でつながった。
「アイツが山本奈津子!? おい、マジカ。いやありえんだろ。全然ちがうじゃん。どっちかって言うと不良じゃなかったっけ? いや不良だった。こんな見た目も趣味もスキルも持ってないただのケバイ不良だったはず」
「それに宇田。中学の宇田って言えば、英語教師の宇田だろ。なんか授業の最初にギターで英語を歌ってたアイツだ。ということは中学のときの話か。それが何で今になって…」
たぶん、というか推測だ。推測でたぶんだから30%も確率としてないと思うけど、それっぽい。アニメを渡したつもりでAVを渡してた。宇田が任期かなんかで転任になった? いや、事故か何かでも起こったのかもしれない。それでたまたま山本か誰かが荷物の整理をしてるときに、あのビデオデータが出てきたってわけか。中学校であんな内容のAV出てきたらまずいだろ? いや、マズすぎ。セクハラなんてそんな生易しいもんじゃない。普通に児童ポルノ法違犯だろ。で、つまるとこ、私に話が流れてきたってことは――
「察するに、そんな若い青い時代に、アニメと思って渡した、事故とはいえ渡してしまった、アダルトビデオを渡した張本人の私」
ただで済まされるわけがない。
"今"の幸せっていうか、それほど幸せじゃないかもしれなけど、そう思うことが幸せなら十分幸せな、"今"が犯される。例えば、仕事先にばれてクビになるんじゃないか! それで自信を喪失したり、車のローンが払えなくなったり、他のその他もろもろで人生終わるような気がするんだが! こりゃ、かなりえらいことになってんじゃないか……
山本が名乗った。正確には、文字で書かれただけだが、その名前を見た瞬間にそう悟っちまった。どうする、私、どうする自分!?
そこで、また画面に文字が表示された。"いかにも"な格好と景色を映しながらのモニターにはこう表示されたんだ。
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「虹裏来い」
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そこで決着をつけると言わんばかりに。
私は、そこで助かるのか? それとも酷い中傷で絶望するのか。
とりあえず、どうしよう。
とりえあえず、放置で。とりえあえず、ブログにでも載せようかと思ってる自分のネタかマゾっぷりがどうかと思ってる現状だけど。今でも、イタズラだと思ってるし。
そもそも連絡ならメールとか電話でいいじゃないかい?
でも、あれから音信不通で放置されてるっぽい私。
ただただ、時間が刻一刻と過ぎて行く。
やはり、虹裏に行くべきか。行ったところであまり良い展開は期待できないけど。
どうしよう。かといって、このまま時間が過ぎていっても仕方ない。
もし、明るみに出たらえらいことだ。
「脅迫でケーサツにでも言うか?」
いや、訴えられるのはこっちのほうだ。犯罪を犯した。いや犯した覚えは無いが、そうらしい自分のほうが立場としては危うい。詐欺師が詐欺しようとして、騙されましたって自分で自分の首を絞めてるようなもんだ。そんなのできるわけがない。
ウソだ、いたずらだと放置するか。
被害届にケーサツに行くか。
言われたとおり、虹裏に行くか。
どれもしっくり行かない。
でも、選ばなければならない。どうしよう。
とまぁ、そんな感じのことが起こった。
ホント、これからどうしよう――
-----------------------------
以下、ネタバレ要素を含むため、反転白文字。
ネタバレ覚悟な、人だけ見てください。
本文とは違うけど、あるゲームのクライマックスだった。
プレイ時間は70超えていて、かなり長かったと感慨。
で、【選択肢】が出たわけだ。
大雑把に言えば、≪戦っても絶対勝てない相手と戦うことに苦しむか?≫。
≪全てを忘れて、滅びの時まで悩みなく過ごすか?≫。
どの道、滅びることには変わらない選択だ。
みんなが一緒に居たこと、関わったことをなかったことにして生きるのか。
一方は、ゲーム的展開で、望むところの【選択肢】。
明らかに片方は、BAD ENDくさい【選択肢】。
もちろん選ぶのはBADのほう。
そりゃ、気になるのはTURE ENDのほうだけど。
でも、どんな展開になるか≪人はIfが気になる生き物≫だから。
そして、選んだとおりにBADっぽく進んでく。
そう進んで行った。
暗闇が訪れたってカンジで進む。
そして、タイトルへ。
そう、普通はそう。そう進む、それが普通。
――だけど、実際は違ったんだ。
それが“正しい”選択だったように、EDが訪れた。
いや、正しかったのか。
10分ぐらいに後日談もどきが始まって、挙句スタッフロールが流れて。
≪キミの記憶≫が流れつつ。
http://www.youtube.com/watch?v=fvAU85K4f6I&mode=related&search=
良い詩だと思った。良い曲だと思った。鳥肌立ったね。
いろいろゲーム中のことを思い出したり、自分の経験と照らし合せたりして。
最後には、2週目は強くてニューゲームってカンジのセーブが出た。
「おいおい、ラスボス倒してないんだぜ?」
とも思ったけど、それはそれ。
よくよく考えてみたさ。どういう意図か考えてみた。
作中で≪貴方がどのような選択をしようとそれが正しい選択なのです≫
と、何度もほのめかされていた。そう、そんなEDだった。
BADじゃなくて、そういうEDだった。
選ばないこと、立ち向かわないこと、今を楽しむならそれでいいじゃん。
それも正しいことだ。正解だよ。
そういうEDだった。
何をどう選ぼうと。その答えが客観的に間違っていようと。
本人が。当事者達がそれが“正しい”と思うことが、【選択肢】の正解。
第三者の観察者の結果論でどう論じても、当事者が選ぶことが正解だ。
自分の、人の、友人の。今の、昔の、未来の人の。
本で、曲で、彫刻で、時間で流されて、染められて、影響受けた答えでも。
悩んで、悩んで…悩みつくして、悩むのに。悩みつかれて、それでも悩んで。
それからひねり出した悩みの極みの悩みな答え。
≪そんな答えを誰が間違いだと、決め付けることができるのかい?≫
だからさ、自分が出した“答え”にもう少し自信を持ったらどうだろう。
自分にも、このシリ/めつれつを見てる人にもそう伝えたいよ。
さて、自分のTURU ENDにいくかね。
◆相変わらず、シリ/めつれつだよね。
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